人生は謎だらけ

人生で出会ってきた謎との邂逅

全ては素なもの?そうしたら人間も猫も素なの?

クリスマスケーキを食べようとしたらその前にお腹いっぱいになって断念したmesameです。

 

今回もひょんなことからだんだんと深いところを探っていくことになる、或るお話です。様々想像しながら楽しんで頂けると嬉しいです!

 

 

『ある出会い』

 

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久しぶりに天気が良かったから、歩くことにしたのです。このあたりでは歩くのが特別なことで、みな車で走ります。そのとき歩いてみたことが、私にとって大切な瞬間となったのでした。ほんとうに、あなたも歩くべきですよ。

 


歩いてみたら出会いがあったのです。あはは、小学生の男の子にですよ。ごめんなさい、あはは。その子がですね、そーそー、その出会いのことなのですけど、すれ違うときに私なんかが考えもしないことを口にしたのですよ。

 


どこで教わったのでしょうかしらね、見た目はとても普通の子でしたから、ごく普通に、こんにちは、ぐらい言ってすれ違うはずでしたのに。その子の、勇気、というのでしょうかしら、赤の他人の私にですよ、あんなことを言うなんて、あはは、もーおかしい。あははは。あーら、また笑ってしまいましたね、ごめんなさいねー。

 


ええと、何を私に言ったかというと、ですけれど、そー、それですよね、お話したいのは。言ってもいいのですよ。素直に。でもー、それだと私が受けた、あの衝撃が、うまく伝わらないと思うのですよねー。うふふ。こう、全身にイナズマが走るような、そういう衝撃が伝わるようにお話するには、どうしたらいいのでしょう。うーん、あーら、あんまり私が言ったから、逆効果でしたかしら。期待させちゃい過ぎました?あららら。もったいぶるのもほどほどにしないといけませんねー。ごめんなさい。

 


じゃあ、気を取り直して、その男の子が私に言ったことを、あなたにも言いますよ。ん、やっぱり、しゃべるだけじゃ、あとで違ったふうに他の人にお話されちゃいますから、紙に、そー、確かこのバッグにメモ用紙があったと思っ、あっ、あったありました、このメモ用紙に書いてお渡ししましょう。で、ここではもうこれ以上はお話しませんよ、うちに帰ってひとりになられたとき、さっと読んでみて下さいませね。

 

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えーと、(サラサラサラサラ)、はい、書きました、で、こう四つに折って、と、はい、じゃあ、これですからね、なくさないでくださいね。はーい、ではでは、私はこれで。お邪魔しましたー。はーい、さよなら〜。

 

 

 


「あなたは、何からできているかご存知ですか?

僕もあなたも同じく素粒子からできてるんです。

素粒子は、宇宙のエネルギーが形になったものです。

僕もあなたも、区別はないんですよ」

 

 

 

ごっめんなさーい、コーヒーのお代、忘れてましたー。お支払いしに戻ってきました。ええっ?さっきのメモ、もう読んでしまいました?せっかくあれだけうちでひとりになってからといいましたのにー。ねぇ、ご主人?

 

 

 

主人「まあまあ、私たちも興味ありましたから。でも、その話、私が思うには、区別はあるんじゃないでしょうか?」

 


そんなー。せっかくいい気分でいるのに。ねー?

 


主人「だって、私とあなた、全然違うでしょう?性別から仕事から、年齢も、住んでいるところも、違うじゃないですか?」

 


そんな区別は、本当の区別じゃなくってよ。ご主人、ちゃんと分かっているのかしらね?

 


主人「もし、みんながみんな同じなら、私たちってそれぞれ生きてる意味がないのではないですか?みんな違うんだ、って言って感心された詩人さえいるのですよ」

 


そんなこと言ってー、もー、分かってくれませんの?私もご主人も素粒子の集まりでしょ。性別だとか、何をおっしゃるの?素粒子からしたらそんなのありませんのよ。ねー?そうでしょう?

 


主人「では、猫も人間も素粒子の集まりとしては同じだから、区別はないと言うのですか?」

 


困っちゃうー、猫と人間は違うわねー。それも本当の区別ではないのかしら。うーん、そうするとみんながみんな違うって方が本当なのかしら・・・。私、分からなくなっちゃった。困ったわ・・・。あのう、ごめんなさい、さっきからずっと黙っているけれど、あなた。あなたは、どっちだと思っているのですか?

 


知り合い「えっ、私?」

 


そーよ、あなたに聞いているのですよ。どっちだと思います?

 


知り合い「私に聞かれても。だいたい、素粒子なんて知らないし」

 


あっ、そうよね、私も知らないですもの。あははは!ご主人は知っているんでしょう?

 


主人「まあ、科学の専門家じゃないから正確なところは分からないですね」

 


えっ?じゃあ、なに?みんな、意味の分からない単語を、さも分かったふりして話していたの?あの男の子も、素粒子のことをきちんと分かっていないんじゃないかしら。なあんだ、これがほんとの子どもだましだわ。

 


ねえ、ご主人、でも正確じゃなくても、とにかく小さい小さい、見ようたって見えるわけがない、点みたいなものが素粒子なんでしょう?

 


主人「そんな感じですよね」

 


知り合い「それなら、私だってわかる」

 


じゃあ、そういう感じだとして話しをしましょうよ。ねえ?

 


知り合い「あ、私が聞かれていたんだ。猫と人間は区別されるか、されないか、だっけ?」

 


ん?まー、そう。

 


知り合い「見方によるんじゃない?区別しようと思えばできるし、同じだと思えば区別できないし」

 


主人「ふふ、でもいいところつきましたよ。猫を猫と思えば人間じゃないし、猫も人間も生命だと思えば同じですね」

 


じゃあ、区別しようと思うかどうかの問題ってことかしら?なにか、しっくりきませんわ。だって、生きている猫と死んでいる猫は、区別しようと思うかどうかにかかわらず、生きているか死んでいるかどちらかでしょう?

 


主人「ですから、その線引きの仕方によるんですよ。生きていても死んでいても、猫は猫。生きているか死んでいるかを問題にすれば、生きているか死んでいるか確かめたとき、必ずどちらかでしょうね」

 


ふうん。みんながみんな違う、と言う人は「みんな」を一人一人、分けてみてるのかしらね。みんなが素粒子としては同じ、と言う人は「みんな」を一緒にみようとしているのかしら。どちらの立場もそれなりに納得できる気がしますけれど。

 


主人「『みんながみんな違う』って立場の人と『みんな一緒』って立場の人に分かれそうですね。なんだか、話しが振り出しに戻りましたね」

 


知り合い「わかった、こうですよ。みんながみんな、『それぞれ生きている』ってこと。一人一人の人生を、みんな生きている。」

 


『それぞれ』、ね!いいこと言うじゃありませんかー。けれど、生きているものに限らないのじゃありません?モノだって、なんだって、『それぞれの仕方で素粒子が集まっている』ってことじゃあないでしょうか?

 


主人「そうか、だから、こうか!『みな、それぞれの宇宙のエネルギーを持っている』」

 

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知り合い「男の子の話、本当だった。今日は、私があなたのコーヒーのお金、出すね」

 


主人「どうも、なんかもらいにくいですよ、今日は特別な日になりましたから」

 


それじゃー、男の子の分にして下さる?いつ来るか、一度も来ることがないかもしれないけど、私たちからのほんのささやかなプレゼントとして。

 


主人「いつまででも待ってますよ。この店がなくならない限り。その子が来たらきっと分かるはずだから。あれだけの勇気の持ち主なら、ね」

 


知り合い「宇宙のエネルギーをたくさんかかえているのかもね」

 


あははは。よかった。今日お話できて。犬は歩いて棒に当たったけど、私は歩いたら男の子に当たったわ。いい当たりだったでしょう。あはは、あはは、あははは。

 

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いかがでしたでしょうか。mesameでした!ではでは!